東日本大震災のあと、やれ節電だの省電力だのが叫ばれました。「ようやくそっち方面に目が向いたか」と古くからの自作erは誰しもが思ったことでしょう。PC業界ではそれより以前から省電力傾向に開発が進んでいたのですから。

 現在もそれは続いていて、ほとんどのスマートフォンには「省電力モード」という感じのツールが付属していると思います。また、特化したアプリ等も存在して、割と人気になっているようです。たしかに、使用することによって幾分電池持ちは良くなりますが、劇的な変化はなく、導入したからと言って充電しなくてもよくなるほどの効果は期待しないほうがいいというのが正直なところです。

 むしろ電池持ちは普段の使い方に影響される部分が大きいので、今回はツールやアプリではなく、テクを紹介したいと思います。

 まずはじめに、充電間隔について。

 大抵の方は「起きるまで満タンにしといて、寝るまで使う」という充電パターンだと思います。寝てる間に充電できれば効率が良いと考えますからね。しかし最近のスマートフォンは急速充電が主流ですから、ヘタすると2時間程度で100%になってしまい、その後は「過充電」と呼ばれる状態になってしまいます。これをさせない機能やツールが存在するくらいでして、結局朝起きたときに100%という状態は、「100%になってからも100%を維持するために少しずつ充電されている」ということにほかならないのです。
 ではそうならないために「充電しながら使えばいいんじゃないか」と考える方もいらっしゃるでしょう。それも実はバッテリには良くありません。熱が大敵というのは機械すべての共通点であり、バッテリも同様です。スリープ状態で充電するときと、動画を見たりしながら充電するときでは、バッテリの温度に大きな差があるのが分かると思います。緊急時を除き、使用中の充電は避けたほうが無難です。

  最もバッテリを長持ちさせられる充電間隔は、「25%前後まで使ってから80%前後まで充電する」の繰り返しだそうで、過充電や過放電(0%まで使い切る)が無ければ、リチウム電池の寿命はカタログ通りのスペックになるらしいです。通常の使用でも1年から2年程度で新品の半分以下まで性能が落ちてしまうらしいので、同じスマートフォンを長く使いたいのであればこれを続けてみたらいいのではないでしょうか。
 「100%になっていると安心する」「充電を途中でやめるなんて考えられない」というのはあくまで人間サイドの都合です。機械にとってみれば逆に迷惑な話だということですね。

 次に、通常の使い方でバッテリを長持ちさせる方法について。

 スマートフォンで最も電池を喰うのは間違いなくディスプレイです。画面の輝度が上がっていると電池がどんどん減っていくというのは誰でも分かることですよね。また、オートで画面が消えるようになっているからと言って、使わないときに付けたまま放置して消えるまで知らんぷりという方もよく見かけます。使っていないときに、電池を減らす一番の要因であるディスプレイを消さないというのは、歯を磨いている途中も水を流しっぱなしにしているのと同じ状態だと考えてください。
 では、単純に輝度を下げればバッテリ持ちはよくなるのかと聞かれると、答えはハッキリ「YES」になります。輝度調整を「オート」にしておくと、日光が当たるときには自動で最大輝度になってしまうので、輝度はマニュアルモードにして「見えるギリギリのちょっと上」くらいにしておくのが良いでしょう。「それじゃあ日なたでまったく見えないんですけど」という反論があるかもしれませんが、見えるところに移動してください。それだけです。

 壁紙も輝度に影響しますので、自身で変更されている場合には「暗めの色の壁紙」を選択するとベターです。実は、TNパネルの場合だと最も省電力な色は逆に「白」になるんですよ。これ、意外と知られていないんです。しかし、IPSパネルならやはり黒が一番省電力ですので、パネル形式の違いにも注意が必要です。まぁ、現在販売されているスマートフォンでTNパネルって見たことが無いので、「壁紙は暗めの色」と覚えておいて間違いないと思います。

 少し誤解があるかもしれませんので補足しておきますが、この場合の輝度というのはバックライトの明るさと同義です。液晶自体は発光しませんので、バックライトが電気を喰っているということです。ちなみに、有機ELは自発光式なのでバックライトが必要ありません。よって省電力です。が、高価です(^-^;。プラズマモニタも自発光式です。近い将来すべてのスマートフォンが有機ELかプラズマになるでしょうね。

 蛇足ですが、東日本大震災のあと、節電対策で「パソコンの壁紙は白にすること」というお触書が回ってきましたね。いかにもどこかのお偉方が知識人を気取って発布したに違いない通達という感じでした。職場でTNパネル使ってたらみんな目がやられちゃいますよ。当時から既にノートパソコンもIPSでしたから、私は一人だけ無視して真っ黒の壁紙にしていました。怒られるかな、上司に呼ばれるかな、と思いましたが、全然お声がかかりませんでしたね。そもそも、それをやったところでノートパソコンだとせいぜい1W~2Wの節電になる程度。1kWhで電気代が約20円として、2Wの節電で割ると500時間。単純に1日あたり8時間フルに使って2ヶ月間で20円の節電になります。80人の職場だと1ヶ月あたり800円の節約ですから、そういう視野で考えられる人はこれを重要だと捉えたのでしょうね。一人一人が実践しなきゃ始まらないことを、誰か一人が声を荒げて主張するのは、現代ではイヤになるほどよく見る光景なわけですが。あー、この場合、全員が壁紙を白にしていたので、1ヶ月あたり800円ずつ多く支払ったわけですね。節電乙~w笑う~w。教えなかった私はもっと人間のクズですねハイorz

 ということで、ディスプレイの輝度を下げるなんて大したことのない節電対策のように感じますけど、スマートフォン等のバッテリはただでさえ容量が小さいですから、意外と重要なファクタなのです。

 他にも、Wi-Fiを切るとかBluetoothを切るとか様々な節電対策があります。Wi-Fiのオンオフは最近のスマートフォンだとほとんど効果がありませんが、Bluetoothは効果が大きいです。ペアリングされていないと常に探しに行っている状態なので、けっこうな電池喰いシステムなのです。使わないときは常にオフで問題ないでしょう。

 アプリなんかに頼るのもいいですが、まずは自分の使い方から見直すと、いろいろなことが分かってきて応用ができるようになると考えています。
 そんな対策をしても、フル充電で1時間持たない中華パッドとか、バッテリ残量メータが延々と100%だったのに突然15%まで落ちるチート中華パッドwとかには無用でしたけど。最新の機種で、それも愛着を持って長く使いたいというときは必須なテクなんじゃないかな~と思います。