ふと家に転がっている大量のタブレットを見るにつけ、「結局リセールバリューがダダ滑りのまま、単なるスレートになっちまったなぁ」と頭を垂れていたわけです。海外ではタブレットのことを"Slate"=石板と呼ぶことも多いんですけど、なるほど言い得て妙ですね。

 5ヶ月前に、タブレット市場が廃れないための生き残りの道について書きました。その後いろいろと考えた結果、消えそうで消えない理由がまさにタイトルの通りなのではないかということに行き着いたのですよ。

 携帯電話などの契約で販売店を訪れた際、iPadに直接サインしたという方が大半ではないでしょうか。
 当然私も毎回機種変時に書かされています。前回は隣に座っていた初老の男性が「つるつるして書きにくいもんだねぇ…」とぼやいていましたよ。慣れないとそう感じるんでしょうね(^-^;。

 これ、「デジタル署名」とか「電子署名」とかと言う人がいるんですけど、完全に別物です。そっちだと情報セキュリティ関連の用語になってしまうので、「電子サイン」という文言で表していきますね。

 その歴史は意外にも古く、2007年と言われています。当時はタブレット端末ではなく「ペンタブレット」を用いていました。紙による行程を省けることとコストカットが図れること、照合作業が楽であること、一元管理ができること等が採用側のメリットとして挙げられますが、何よりも法的に契約上の効力を持つと認められた点が大きいでしょう。
 また、少し別方面の話になりますが、ハンコ中心の文化である日本人であっても、電子印鑑が少しずつ広がりを見せているようです。紙ベースのビジネスからおさらばする日もそう遠くないのかもしれません。

 身近なのは上に書いた携帯電話の契約における電子サインなのですが、最近はさまざまなところでこれにお目にかかれるようになりました。
 先日、我が家に点検に来たガス業者がこれになっており、せっかくなのであれこれと尋ねてみたんですよ。業務の邪魔して悪いなぁとは思いながらも。
 すると、定期的な点検は法的に定められたもので、国にそれを報告する義務があるのだということを聞けました。数百数千という家庭から、専用の紙に点検済みのサインをもらって、それをまとめて決められた期間(3年とおっしゃっていたような気がします)保存するのは、労力とお金の無駄以外の何物でもありません。デジタル化されたことで作業量と保存スペースが減ったので、メリットしか感じないということでしたよ。同じように圧倒的な恩恵を享受している企業も多いでしょうし、今後ますます増えていくものと思われます。
 それと、偏見かもしれませんけど、60近いと思われるおじさんが颯爽とiPadを取り出すのはカッコイイと感じました(^-^;。
 こうして自然に受け入れられるもの、そして最大のネックである「楽」「簡単」という要素が無ければ進化はあり得ません。そんな意味からも、タブレット端末が完全に消滅することはないだろうと考えたのです。

 ではなぜスマートフォンではいけないのでしょうか。答えは簡単。見やすいからですね。大きさに利点があるが故です。例えば営業をしている人がスマートフォンの画面を見せて解説するなんてのは現実的ではないですし、電子サインにしても、はっきりと「見える」ことが重要なんですよ。
 何も電子サインのみに限ったことではありません。ある会社では、ブレインストーミングで各々が書いたものをまとめてサーバに放り込み一括で表示し進めることで、普段埋もれがちな意見も拾いながら効率のよい会議ができるようになったそうです。他にも可能性はたくさんあるでしょう。要は使う人のアイディア次第なんですよね。

 というわけで、タブレットはまだまだニーズがありそうだと思いました。個人ユースよりはビジネスシーンで。なので、私の家に転がっているゼリービーンのタブレットもどうか高く買い取ってくださいorz